· 

東向山の整備 その玖


東京で自然豊かな環境の中に、ステキなお寺と保育園があるのです。そのSさんとの縁をいただき始まった裏山の整備と次の世代に裏山の自然を紡ぐプロジェクト。

 

きこりの時期に入り今シーズンも東向山の整備で特殊伐採を行っています。

 

今回は本堂・母屋にかかるナラ枯れ樹の対応に入ります。

急斜面に母屋に向かって生えているので、元から伐ることは困難そうですね。

また厄介なことに、大きな枝が屋根までカナリはり出しています。

 

前回の下見より、リギング計画を立てて今日の作業にのぞんでいますが、実際に登って樹上で分かることも多々。早速にリギング準備を進めていきましょうー

今回は大きな枝幹を伐って落していく訳なのですが。。

 

複雑な状況に悪条件が重なって難易度の高い作業となるために、デフレクションを取って、ロワリングを2つ設けて対応していきます。

 

その制御する道具(ロワリングデバイス)はカナリ強力!

こんなケースには欠かせないモノですから、値段もハンパなくパワフルです(笑)

そんな道具の活躍もあって、今回も安全作業で現場が進んできます。

 

特殊伐採でも切り落としとは違って、リギングで安全確実に降ろしていく作業は時間や手間が格段にかかるのですね。またこの悪条件では危険度もアップします。

 

Tさんが樹上でわたしKさんとで地上で息を合わせながら、今回もワンチームで慎重に枝幹を落として任務完了させていきます。

 

作業を終えて 大きくはり出していた幹がなくなって、屋根にかかる心配がなくなりましたし、だいぶ大きな空間ができてまた光と風が抜けるようになりましたね。

今回ナラ枯れたカシ系の樹木ですが、伐った幹の断面には黒褐色した変色した跡が分かりますね。これはカシナガのアタックにより辺材部が防御した反応形跡であり、そのために通水機能が低下したことがうかがえ知れます。

 

まだ解明されていない部分が多いナラ枯れの実態ですが、里山管理の滞りが指摘された新陳代謝の必要性が問われている説も有力視されています。

 

こうして特殊なきこり技術を使ってナラ枯れ樹木をケアしていきながらも、東向山の全体を考えて新陳代謝を促しながら、 再び山が輝きを取り戻していけるように努めていきたいですね。